子どもと楽しむ高尾山:関東発・日帰りファミリー観光完全ガイド

高尾山は東京近郊に位置し、都心から電車で約1時間というアクセスの良さから、年間約260万人もの登山者が訪れる人気スポットです。標高599mと比較的低い山ながら、豊かな自然や由緒ある寺院、美味しいグルメなど見どころが満載で、「ミシュランガイド」で三つ星観光地にも選ばれています。初心者や子ども連れでも気軽に登れる整備されたコースや、山腹まで一気に運んでくれるケーブルカー・リフトがあるため、小さな子どもを連れたファミリーにも最適なハイキングスポットです。四季折々の景色を楽しみながら、親子で自然や文化に触れる高尾山の楽しみ方を、モデルコースや注意点も交えて詳しくご紹介します。

高尾山がファミリーに人気の理由とは?

アクセスが良好で日帰りに最適: 高尾山は東京都八王子市に位置し、京王線「高尾山口駅」から徒歩数分で登山口に到着します。新宿から電車で約50分と日帰りにちょうど良い距離で、移動の負担が少ないのが魅力です。駅を降りればもう緑に囲まれており、都心から離れずに自然を満喫できるスポットとして親しまれています。

子どもでも登りやすい整備された登山道: 高尾山にはいくつもの登山コースがありますが、メインの1号路(表参道コース)は全区間が舗装・整備されており、傾斜も緩やかで安全です。小さな子どもや登山初心者でも歩きやすく、家族でのハイキングデビューにぴったりのコースです。途中にはベンチや休憩所が点在し、無理なく自分たちのペースで山頂を目指せます。

ケーブルカー・リフトでラクラク山頂近くへ: 高尾山の中腹(標高約470m付近)まではケーブルカーや観光リフトが運行しており、歩かずに一気に高度を稼ぐことができます。ふもとから山頂までは徒歩で約90分かかりますが、乗り物を使えばわずか6分〜12分で山腹に到着します。体力に自信のない子どもや小さな幼児連れでも、これらを活用すれば気軽に山頂を目指せるのが大きなメリットです。

充実の観光スポットと施設: 山内には サル園・野草園薬王院(山岳仏教の寺院)、展望台 といった観光ポイントが多く点在し、登山以外の楽しみも豊富です。また山道沿いには昔ながらの 茶屋(休憩処)や売店が軒を連ね、名物の 天狗焼き やとろろ蕎麦などグルメも堪能できます。下山後には駅前にある日帰り温泉 「京王高尾山温泉 極楽湯」 で汗を流しリフレッシュすることもでき、一日中家族で楽しめる充実の施設が揃っています。

豊かな自然と文化体験: 高尾山は植物学的にも貴重な山で、1,600種以上の植物や多様な野鳥・昆虫が生息しています。四季折々に美しい景観を見せ、春の桜や新緑、秋の紅葉、冬の澄んだ空気と景色など季節ごとの魅力があります。また修験道の歴史を持つ霊山でもあり、中腹の薬王院では天狗信仰にまつわる文化や行事に触れることができます。親子で自然観察をしたり、歴史文化に触れたりできるのも、高尾山ならではの体験です。

このように、高尾山は**「都心から近いのに大自然」という立地と、「子連れに優しい設備と見どころ」**が両立したファミリーに嬉しい観光地です。では具体的に、子どもと一緒に高尾山を訪れる際の詳しい楽しみ方を見ていきましょう。

登山前に立ち寄りたい!「TAKAO 599ミュージアム」で予習

高尾山口駅から歩いて4〜5分の場所には、**「TAKAO 599ミュージアム」**という入場無料の博物館があります。高尾山の標高が599mであることにちなみ名付けられたこのミュージアムでは、高尾山の生態系や歴史・文化について親子で楽しく学ぶことができます。館内には高尾山に生息する植物やキノコを樹脂標本にした展示、山の鳥や動物の剥製、高尾山の四季を映像で紹介するプロジェクションマッピングなど、子どもの興味を引く工夫がいっぱいです。

特におすすめは屋外にある**「599ガーデン」で、夏季には浅いじゃぶじゃぶ池がオープンし、子どもたちが水遊びできるようになっています。登山前にひと遊びしておくと、子どもの緊張もほぐれて楽しくスタートできるでしょう。館内には授乳室やおむつ交換台付きトイレ**も完備されているので、小さな赤ちゃん連れでも安心です。開館時間は季節によりますが朝8時頃から夕方まで(冬期は少し短縮)開いているので、朝早く到着した際の時間調整にも便利です。

ミュージアムで学べること: 高尾山の動植物に関する豆知識や、登山ルートとマナー紹介コーナーなどもあるので、山に登る前に親子で「今日はどんな植物が見られるかな?」と話し合ったり、「山ではゴミを持ち帰ろうね」とルールを確認したりするのに役立ちます。子どもにとっては登山が単なる「山を登る」だけでなく、自然探検学びの場になるはずです。

ワンポイント: ミュージアムは入館無料で冷暖房も効いているため、夏の涼みスポットや冬の防寒休憩にもなります。トイレ休憩やおむつ替えにも気軽に利用できるので、高尾山に着いたらまずここに立ち寄るのがおすすめです。

ケーブルカー vs 観光リフト:家族連れにはどっちがおすすめ?

高尾山のふもと・清滝駅から山腹の高尾山駅/山上駅まで、ケーブルカー観光リフトという2つの乗り物が運行しています。どちらも料金は同じで、大人片道490円(往復950円)、小学生片道250円(往復470円)ですが、それぞれ特徴が異なります。家族構成やお子さんの年齢、当日の気分によって選んでみましょう。ここではケーブルカーとリフトのメリット・注意点を比較してご紹介します。

ケーブルカー:安定感抜群!急勾配を親子で体験

高尾山のケーブルカーは清滝駅〜高尾山駅間約1kmを結び、日本一の急勾配(最大31度18分)を6分ほどで一気に駆け上がります。まるでジェットコースターのような急坂を登る体験はスリル満点で、子どもたちからも「わぁ、すごい!」と歓声があがるポイントです。それでいて車両は頑丈で安定しており、座席もありますので乳幼児からご高齢の方まで安心して乗車できます。

ケーブルカーのファミリー向けメリット:

  • 天候に左右されない安心感: 屋根と窓付きの車両なので雨風や寒さ暑さを気にせず乗れます。天候が不安定な日でも運休がほとんどなく、小さな子ども連れでも快適です。
  • 大量輸送で待ち時間短縮: 一度に135人乗れる大型車両のため、混雑時でも回転が速く、長蛇の列でも意外とスムーズに順番が回ってきます。特に紅葉シーズンの週末など混雑日は、2人乗りのリフトよりケーブルカーの方が待ち時間が短くて済む傾向です。
  • ベビーカーOK: ケーブルカーは車両の床とホームにほとんど段差がなく、折りたたんだベビーカーであれば持ち込むことが可能です。係員さんが乗降をサポートしてくれる場合もあり、小さな子をベビーカーに乗せているファミリーには断然便利です。清滝駅にはベビーカー預かりサービスもあり(1回300円程度)、登山中は駅で預かってもらうこともできます。
  • バリアフリー対応: 山上側の高尾山駅にはエレベーターが設置されており、車椅子やベビーカー利用でも降車後にスムーズに移動できます。車椅子利用者にはスタッフの介助もあるなど、ファミリー以外にも優しい設計です。

運行時間と注意点: ケーブルカーは基本的に朝8時〜夕方まで15分間隔で運行しています(時期によって終発時刻が異なり、夏季は18時過ぎ、冬季は17時台が最終です)。ゴールデンウィークや紅葉シーズンには増便も行われます。また夏のビアマウント(高尾山山頂のビアガーデン)開催期間中は夜間21時過ぎまで特別運行され、大晦日〜元旦にかけては終夜運転も実施されます。ただし非常に混雑する日は臨時の乗車整理券が配布されることもあるので、確実に早く乗りたい場合は朝の始発(8:00)を狙うのがベストです。

観光リフト:絶景とスリル!風を感じる空中散歩

観光リフトは、清滝駅横の「山麓駅」からケーブルカーとほぼ並走するルートで山上駅までを結ぶ2人掛けの屋外リフトです。スキー場のリフトのように地上数メートル〜十数メートルの高さを約12分かけてゆっくり進みます。足元がぶらぶらと宙に浮いた状態で乗るため、360度遮るもののない大パノラマの景色と、森の中を飛んでいるような開放感が魅力です。

リフトに乗ると、鳥のさえずりや木々を揺らす風の音が直接耳に届き、木の香りまで感じられます。春の新緑や秋の紅葉シーズンには、色とりどりの森の中を空中散歩しているような気分で、子どもたちも大興奮間違いなしです。「高い場所は平気!」「景色をじっくり楽しみたい」というご家族にはリフトがおすすめです。

リフト利用のポイント&注意:

  • 年齢制限は実質なし: リフトに明確な年齢制限はありません。大人の膝に乗せる形であれば幼児も乗車できます。ただし安全バーを自分でしっかり掴める年齢(目安として3歳以上)のお子さんの方が安心です。乗車の際には、動いてくる椅子にタイミングを合わせて座る必要があるため、小さい子は大人が抱きかかえて乗る形になります。
  • スリル満点だが高所注意: リフトは地上高があるため、大人でも下りは少し足がすくむほどの高さを感じます。高所恐怖症の方や、高い所が苦手な子には無理をさせないようにしましょう。乗車中は安全バーがあるとはいえシートベルト等はないので、小さな子どもは必ず大人がしっかり抱っこか腕を組んで支えるようにしてください。
  • ベビーカーは利用不可: リフトは構造上、折りたたんだベビーカーでも持ち込むのは難しいです。乗車中は両手もふさがるため、ベビーカーはふもとに預けて親御さんは身軽な状態で乗る必要があります。登頂後にベビーカーが必要な場合は、先にケーブルカーで上がってしまうほうが賢明でしょう。
  • 天候と運行時間: リフトは野外施設のため強風・雷雨時には安全のため運休となります。晴れていても風が強い日は止まることがありますので、当日の天気を確認しておきましょう。また運行時間もケーブルカーより短めで、通常は朝9時始発〜16時または16時30分頃に営業終了します(季節により変動、冬期は16時まで)。下山にリフトを使おうと思っている方は、時間に遅れないよう計画しましょう。なお、紅葉シーズンなど繁忙期の土日祝は状況に応じてリフト終発を延長する場合もありますが、それでも夕方17時前後には終了します。

どっちを選ぶ?ファミリーには…: 小さな子ども連れで安定・時短を求めるならケーブルカーがおすすめです。ベビーカーや荷物が多い時もケーブルカーの方が快適でしょう。一方、ある程度大きくなったお子さんや、アクティブな体験をさせたい場合はリフトに挑戦してみるのも良い思い出になります。例えば「行きはケーブルカーで楽に上がり、帰りはリフトで景色を堪能しながら降りる」という組み合わせも人気です。往復券購入時にケーブル・リフト片道ずつ選ぶこともできますので、家族の希望に合わせてプランニングしてください。

料金メモ: 未就学児はケーブルカー無料(大人1名につき1名まで)、リフトは3歳未満無料(大人1名につき1名まで)と、無料対象年齢が異なる点も覚えておきましょう。

子ども大喜び!山上の「さる園・野草園」で動物&自然観察

ケーブルカー高尾山駅(山上駅)から歩いてわずか3分ほどの場所に、**「高尾山さる園・野草園」**があります。山の中腹約450m地点という高所にありながら約70頭ものニホンザルを飼育している動物園で、家族連れに大人気のスポットです。隣接して高尾山の植物を集めた野草園もあり、動物好きな子も植物好きな子も一緒に楽しめる施設となっています。

さる園の見どころ:

おサルたちを間近で観察! 園内にある「サル山」では、放し飼いにされたサルたちがのびのび暮らしています。見学は建物の中からガラス越しに、また建物屋上の観覧デッキから直接(柵越しに)観察する2通りの方法があります。屋内からは至近距離でサルを見られますし、屋上からはガラス無しで開放的にサル山全体を見下ろせます。サルたちは群れで生活しており、ボスザルや親子ザル、じゃれ合う子ザルなど様々な様子が観察できます。赤ちゃんザルがお母さんにしがみついている姿はとても可愛らしく、子ども達も興味津々です。

ユニークな展示と解説: さる園の建物内には、飼育員さん手作りの解説パネルが壁一面に貼られています。サルたちの家系図や歴代ボスザルの紹介、「サルの社会」についての豆知識、さらにはサル園内で人気のサル投票(アイドル総選挙)の結果発表など、ユーモアたっぷりの内容です。事前にそうした情報を読んでから実際のサルを見ると、「あれが今のボスザルかな?」「赤ちゃんを抱っこしているのは○○ちゃんだ!」など親子で話題が広がり、一層観察が楽しくなります。

エサやり体験(※投げ入れ): 園内ではサルへの餌(専用の飼料)を購入できます。直接手渡しはできませんが、決められた位置からサル山に向かってエサをポイっと投げ込むことができます。子どもにとっては自分の投げたエサをサルがキャッチしたり奪い合ったりする様子が面白く、大興奮の体験です。ただしサルたちは素早いので「遠くのサルにあげよう」と思っても素早い子が横取りしたりします。エサやりはサルの習性も知る良い機会ですので、ぜひ挑戦してみましょう。

フォトスポットも充実: 園内のあちこちに顔出しパネルが設置されており、家族で記念写真を撮るのにぴったりです。「猿の顔になりきりパネル」や、高尾山599mにちなみ「イイネ!599」と表示されたインスタ風パネルなどユニークなものもあります。登山の合間にちょっとしたお楽しみとして撮影してみてください。

野草園の見どころ: さる園の入園券で隣接する野草園にも入れます。高尾山周辺に自生する様々な草花を季節ごとに観賞できる庭園で、春には タカオスミレ(高尾の名を冠したスミレ)やシュンラン、初夏にはヤマユリ、秋にはリンドウなど、登山道脇で見落としがちな野草もまとめて楽しめます。園内には散策路が整備され、小鳥の声を聞きながらゆったり自然観察することができます。植物名の札も立っているので、親子で「これが〇〇の花だね」と確認しながら歩けば、ちょっとした 植物図鑑探検 のようで勉強にもなります。

利用情報: 入園料は大人500円、子供(3歳以上小学生まで)250円です。営業時間は季節によって変動しますが、おおむね朝9時30分〜夕方16時30分(入園は16時15分まで)となっています。冬季は日没が早いため16時頃に閉園しますので、午後遅く行くと入れない場合もあります。定休日は基本ありませんが、サル山の整備や点検で年に数日休園日が設けられることがあるので、高尾登山電鉄の公式サイト等で最新情報を確認しましょう。

子連れ向けポイント: さる園入口には売店とトイレがあり、おむつ交換台も備えています。階段はありますが段数は多くなく、抱っこ紐で赤ちゃんを抱えたままでも見学可能です。サルを見る屋上までは螺旋階段になりますが、緩やかなので幼児でも大人と手をつなげば上れるでしょう。万一途中で怖がった場合は屋内ガラス越しでも十分楽しめます。また、サル園で配布している子ども用の**「観察シート」**を使ってサルの行動をチェックしたり、何匹見つけられたか数えてみたりすると、子どもも飽きずに夢中で観察してくれます。

表参道を親子でのんびり散策:高尾山1号路の見どころ紹介

ケーブルカーまたはリフトで山上に着いたら、いよいよ山頂を目指して**高尾山1号路(表参道コース)**を歩きましょう。1号路は舗装されたゆるやかな坂道が続くメインルートで、途中にさまざまな見どころスポットがあります。子どもと一緒に楽しめるポイントを押さえておけば、道中も飽きずにワクワク進めるはずです。

タコ杉(たこすぎ)

山上駅から少し歩くと現れるのが、高尾山の有名なご神木**「タコ杉」**です。根っこが八方向にうねる姿がまるでタコの足のように見えることからその名が付きました。周囲には直径1メートル以上もある立派な杉の巨木ですが、昔、参道拡張の際に伐採を免れるため自ら根を八方に避けて生えた…という伝説が残っています。「引っ張りダコ」ならぬ「ひっぱり蛸お守り」も売られており、「この木のように災難を避ける」「人から引っ張りだこの人気者になれる」などの御利益があるとされています。

子どもには木の根の不思議な形そのものが面白いでしょうし、「タコみたいだね!」と盛り上がります。また由来の話を聞かせて、「木が自分で根っこを張り巡らして道を守ったんだって」と伝えると、子どもなりに自然や伝説への興味が湧くかもしれません。タコ杉の前では皆写真を撮っていくスポットなので、ぜひ家族で記念撮影を。ここまで来ればお子さんも「すごい木を見た!」という達成感が生まれ、登山のモチベーションアップにつながります。

男坂・女坂(まさかの分かれ道!)

タコ杉を過ぎると、薬王院境内へ向かうルートが二手に分かれます。急な石段が続く**「男坂」と、なだらかな坂道の「女坂」**です。どちらを通っても途中で合流しますが、小さな子ども連れには勾配が緩やかな女坂がおすすめです。

  • 男坂: 108段の石階段が連続する急坂です。大人にとっては足の筋肉にこたえる本格的な登りですが、「108段=煩悩の数」とも言われ、修行気分を味わえます。体力の有り余っている子どもならチャレンジしてみても良いでしょう。ただし段差が不揃いで急なので、幼児は転倒に要注意です。3〜4歳くらいまでのお子さんは無理せず抱っこした方が安全でしょう。
  • 女坂: 男坂の脇を緩やかに巻くようにつけられた坂道で、距離はやや長くなりますが傾斜が緩く歩きやすい道です。途中、巨石が連なる涼しげな雰囲気の道で、森林浴を楽しみながらゆっくり進めます。所々に小さな祠や石碑もあり、「これは何かな?」と親子で話題にしながら登ると楽しいです。

特にベビーカーを使っている場合や幼児連れの場合は、迷わず女坂を選びましょう。男坂は階段の幅が狭く傾斜も急なので、子連れにはハードです。女坂であればおしゃべりしながら景色を楽しむ余裕もありますので、子どものペースに合わせて一歩一歩登ってください。

高尾山薬王院で文化体験

女坂・男坂を登りきると、関東有数の霊場**「高尾山薬王院 有喜寺」の境内に入ります。薬王院は744年に開山された歴史ある寺院で、高尾山自体が古くから修験道(山岳修行)の霊場として信仰されてきた場所です。境内には天狗(山の霊的存在)にゆかりの深い像や建造物が多く、異世界に迷い込んだような独特の空気感があります。子どもにとっても非日常の文化体験**となるでしょう。

  • 山門と天狗像: まず目に入るのが立派な仁王門(山門)。そして門前両脇には、高尾山の守護神でもある天狗の像が二体立っています。赤ら顔で長い鼻の「大天狗(烏天狗)」と、カラスの嘴を持つ「小天狗(前司様)」です。その迫力ある姿に子どもは驚くかもしれませんが、「高尾山を守っている神様なんだよ」と教えてあげると、「この人が見守ってくれてるなら安心だね」なんて答えるかもしれません。天狗は高尾山のシンボルなので、一緒にポーズを真似して写真を撮るのも良い思い出になります。
  • 本堂でお参り: 階段を少し上がると薬王院の本堂があります。家族の健康や旅の安全を祈願してお参りしてみましょう。お寺でのお参り作法(軽く一礼→鐘を鳴らし→お賽銭→二礼二拍手一礼)は神社とは異なりますが、子どもと一緒に手を合わせるだけでも心が落ち着くひとときです。本堂前には巨大な鉄製の輪「願叶輪潜(ねがいかなうわくぐり)」が設置されており、これをくぐり抜けると願いが叶うとされています。親子で輪をくぐりながら「何をお願いする?」なんて話すのも楽しいですね。
  • ユニークな仕掛け: 境内には他にも、六根清浄石車(ろっこんしょうじょういしぐるま)といって、**六根清浄(人間の六つの煩悩を清める)**と彫られた石の車輪を回すスポットがあります。子どもでも簡単にぐるぐる回せるので、「これを回すと心がきれいになるんだって、やってみよう!」と誘ってみましょう。カラコロと音を立てて回る石車に子どもは興味津々で、ゲーム感覚で何度も回したがる子もいます。
  • 名物お守りやグッズ: 薬王院では天狗をあしらったお守りや絵馬、そして天狗の顔出しパネルなどもあります。中でもユニークなのは「葉っぱのお守り」。天狗が持つ団扇(うちわ)に見立てた葉っぱ型で、「魔除け」「家内安全」など様々な種類があります。植物好きなお子さんには杉の葉でできたお守りなんかも面白いかもしれません。小学生くらいなら、自分用のお守りを選ぶ体験も良い記念になります。

薬王院は高尾山の信仰文化を象徴する場所です。厳かな雰囲気の中にも子どもが楽しめる仕掛けが多く、自然だけでなく文化・歴史にも触れられるのが高尾山ハイキングの魅力だと感じることでしょう。ただし境内では走り回ったり大声を出したりせず、静かにマナーを守って参拝してくださいね(好奇心旺盛な子には見守りと声掛けを忘れずに)。

山頂目前!最後のひと頑張りと展望スポット

薬王院を過ぎると、いよいよ山頂まではあと少しです。境内を抜けた先からは再び森の中の道になり、多少の上り下りや階段がありますが、子どもと話しながらゆっくり進めば問題なく歩けるでしょう。この区間にも休憩ベンチが所々にありますので、疲れたら無理せず腰掛けて水分補給してください。

山頂直下には小さな広場「ご来光(八王子)台」があります。ここは初日の出スポットとして有名で、ベンチと東屋もあり眺望が開けています。「あともうひと登りで頂上だね!」と景色を見ながら一息つくのに最適です。天気が良ければ、ここから既に遠く新宿副都心のビル群や東京スカイツリーがうっすら見えることもあります。子どもと一緒に双眼鏡をのぞいて「どれがスカイツリーかな?」と探してみるのも楽しいでしょう。双眼鏡がない場合でも、山頂には100円で使える望遠鏡も設置されています。

さあ、最後の坂を上りきると…**高尾山山頂(標高599m)に到着です!木々のトンネルを抜けてパッと視界が開ける瞬間は、何度来ても感動的です。子どもと「着いたー!」とハイタッチして喜びを分かち合いましょう。山頂には広々とした大見晴台(おおみはらしだい)**と呼ばれる展望スペースがあり、晴天時には真正面に富士山の雄大な姿を拝むことができます。その他、関東平野をぐるりと見渡せる絶景に、大人も子どもも達成感でいっぱいになるはずです。

山頂での過ごし方:

  • 599mの山頂標識で写真撮影: 山頂には「高尾山 山頂 599m」と書かれた木製の標柱があります。ここは記念撮影の定番スポットで、順番待ちの列ができることも。ぜひ家族全員で写真に収め、今日一日の思い出の1ページにしましょう。
  • お弁当・ピクニック: 大見晴台にはベンチやテーブルがいくつかありますが、週末は特に混雑していて空いていないこともしばしば。そんなときのためにレジャーシートを持参するのがおすすめです。広場の好きな場所に敷いて、山頂ピクニックを楽しみましょう。木陰もあるので、天気が良ければのんびりお昼ご飯タイムにぴったりです。頑張って登った後の食事は格別で、子どももおにぎりやサンドイッチをパクパク食べてくれることでしょう。
  • 山頂の売店とトイレ: 山頂には軽食や飲み物を売る売店や自動販売機、そしてトイレがあります。トイレは新しく綺麗に管理されており、安心して利用できます(紙も備え付けあり)。売店では温かい麺類(天ぷらそば等)やカレー、おでん、ソフトクリーム、ビールまで揃っています。お弁当を持参しなくても何か食べ物は手に入りますが、山頂価格でやや割高ですので、予算や状況に応じて利用してください。
  • 高尾ビジターセンター: 山頂には環境省運営の「高尾ビジターセンター」という小さな資料館もあります。高尾山の自然や歴史について展示しており、スタッフによるガイドイベントが開催されることもあります。館内には無料で入れて、外にあるトイレの他、救護室を兼ねた授乳スペースもあります。歩き疲れた子どもと少し涼みに立ち寄るのもいいでしょう。余裕があればビジターセンターの方に「今日はリスはいますか?」なんて質問してみると、近くの生き物情報を教えてもらえるかもしれません。

山頂での景色と達成感は、子どもにとっても大きな自信につながります。「自分の足で登れたね、すごいね!」とたくさん褒めてあげてください。無理なく登れたようなら、「次は違う季節に来てみようか」「別のコースにも挑戦してみる?」と次の楽しみを提案してみるのも良いですね。

高尾山グルメを味わおう!茶屋と名物フード情報

山歩きでお腹が空いたら、高尾山ならではの グルメ もぜひ楽しみましょう。登山道沿いには昔ながらの茶屋(休憩処)がいくつも営業しており、軽食や甘味を味わいながら一休みできます。また、高尾山の名物スイーツ「天狗焼き」は外せません。子連れにおすすめの食事・軽食スポットとメニューをご紹介します。

山麓のおすすめ食事処

麓エリア(清滝駅周辺)には、登山前後に立ち寄れる食事処が揃っています。駅前にはお土産屋やカフェもありますが、高尾山らしい郷土食としてはとろろ蕎麦が有名です。とろろ(山芋のすりおろし)は昔から高尾山参拝者のスタミナ食として親しまれてきました。

  • 高尾山麓駅前には老舗の蕎麦屋が数軒あり、「高尾山とろろそば」「山菜そば」などが人気メニューです。子ども向けには温かいかけそばやうどん、カレーライスを出す店もありますので、辛いものが苦手でも安心です。登山前にエネルギー補給したい朝早い時間帯でも営業している店があります。
  • TAKAO 599ミュージアム隣接カフェ: ミュージアムに併設されたおしゃれなカフェもあり、コーヒーや焼き立てパン、ソフトクリームなどがいただけます。小腹が空いたら利用しても良いでしょう。

※登山前にガッツリ食べ過ぎると動きにくくなるので、朝食程度にとどめ、山頂か下山後にしっかり食べるプランでもOKです。

登山道の茶屋めぐり

高尾山の1号路には、伝統的な**茶屋(ちゃや)**が点在しています。茶屋とは、お茶や軽食を提供する休憩所のこと。風情ある建物で名物だんごや甘酒を味わえるので、ハイキングの楽しみの一つです。家族で茶屋めぐりをすれば、歩き疲れもリフレッシュできますよ。

  • 十一丁目茶屋(じゅういっちょうめちゃや): 山頂直前、標高560m付近にある老舗茶屋です。創業明治32年(1899年)という歴史を持ち、テラス席からの眺めが抜群。名物は香り豊かな「とろろそば」で、高尾山の名物とろろをたっぷりかけたお蕎麦は風味満点です。その他、おでんやお汁粉、ビールなどもあり、大人ものんびりした気分に。山頂に着く前に最後の休憩をするには絶好の場所です。
  • ごまどころ権現茶屋: 薬王院の少し手前(男坂・女坂の合流地点)にある茶屋で、名前の通りごま(胡麻)を使った団子が名物です。「ごまだんご」は炭火で焼いた串団子に特製のごまだれを絡めたもので、香ばしくて絶品!1本食べれば子どものおやつにも、大人のお茶請けにも満足のボリュームです。店頭で焼いている香りに誘われてつい立ち寄りたくなります。店内席もありますので、疲れた足を休めながら名物を味わってください。
  • 十六丁目茶屋・十五丁目茶屋: こちらは1号路ではなく稲荷山コース分岐付近ですが、付近には他にもいくつか茶屋があります(※丁目の数字は道標に合わせた通称です)。それぞれ趣向を凝らしたメニューがあり、例えば夏季限定のかき氷や冷やし甘酒、冬場の甘酒・樽酒、力餅(きなこ餅)などが楽しめます。

茶屋には大抵トイレも併設されていますし、屋根のある休憩所になっている場合が多いので、突然の雨でもしのげます。ベビーカーはお店の外に畳んで置いておき、抱っこで中に入る方がスペース的に良いでしょう。店の方も子ども連れに慣れていて、「お水もらえますか?」など気軽にお願いすれば快く対応してくれます。昔ながらの山のホスピタリティに触れられるのも、茶屋めぐりの醍醐味です。

高尾山名物スイーツ「天狗焼き」

高尾山に来たなら必ず食べて帰りたいのが、名物のおやき「天狗焼き」です。天狗焼きは、高尾山の守り神・天狗の顔をかたどった黒い今川焼(大判焼)風のお菓子で、生地は外側カリッ、中はもちもちの独特の食感が特徴。中には北海道産の黒豆を炊き込んだあっさり甘い黒豆餡がぎっしり詰まっています。甘さ控えめなのでペロリと食べられ、山歩きのエネルギー補給にも最適です。

販売しているのはケーブルカー高尾山駅すぐ横の「高尾山スミカ」内の売店一軒のみという限定感もあり、高尾山でしか手に入らないレアなおやつとして観光客に大人気。常に行列が絶えず、休日の午後には**「売り切れ御免」**となることもしばしばです。営業時間は朝10時〜夕方4時30分(冬は4時まで)ですが、確実にゲットしたいなら午前中〜昼過ぎのうちに購入するのがおすすめです。

焼き立て熱々の天狗焼きをほおばれば、山の空気の中で一層美味しく感じられます。子どもも「天狗さんの形だ!」と喜んで食べてくれるでしょう。1個250円(税込)でボリュームもほどよいので、お土産用というよりその場で食べ歩きがお約束。山上駅周辺のベンチで休憩がてら味わう人が多いです。

天狗焼きは冷めても美味しいですが、やはり出来立てのパリッ&モチッ食感は格別なので、買ったらすぐ頬張るべし! なお、売店ではまとめ買いもできますが、一人10個以上など大量購入する人もいるため、後ろに並ぶ子連れファミリーのためにも譲り合いの気持ちを持ちたいですね。

山頂・下山後のグルメ

  • 山頂売店の定番メニュー: 山頂では先述のとおり軽食が購入できます。中でも寒い時期に人気なのが「なめこ汁」や「けんちん汁」といった温かい汁物。冷えた体がほっと温まり、野菜も摂れるので子どもにも◎です。夏場はソフトクリームやかき氷が飛ぶように売れています。高尾山オリジナルの樽出し甘酒猿まわし珈琲(猿のロゴ入り紙コップのコーヒー)などユニークな飲み物もあり、話のネタに試してみるのも良いでしょう。
  • 下山後は温泉でお食事も: 後述する「京王高尾山温泉 極楽湯」内には広い食事処があります。ここでは高尾山名物のとろろ料理(とろろそば、麦とろご飯)をはじめ、定食類やお子様ランチも提供しています。お風呂上がりにさっぱり冷たい生ビールと湯豆腐、なんて大人の贅沢も。子どもにはドリンク・デザート付きのキッズメニューもあるので、家族みんなで満腹になれます。登山後は意外とエネルギーを消耗していますから、帰路につく前にしっかり栄養補給していきましょう。

注意点: 高尾山は自然公園内でゴミ箱がほとんど設置されていません。お菓子や弁当のゴミは各自持ち帰る必要があります。ビニール袋を余分に持参し、出たゴミはひとまとめにしてザックに入れて持ち帰るようにしましょう。茶屋や売店で購入した飲食物の容器も基本的には引き取ってもらえないので、飲み終わったペットボトルなどもしっかり管理してください。また、山中で野生動物(カラスやサルなど)に食べ物を奪われないよう、食事の際は手に持ったまま歩かない、食べ残しを放置しないようにしましょう。

登山後はほっこり温泉タイム「京王高尾山温泉 極楽湯」

たっぷり歩いて遊んだあとは、帰る前に温泉で汗を流してリフレッシュしましょう。高尾山口駅のすぐ隣にある**「京王高尾山温泉 / 極楽湯」は、登山帰りの観光客に大人気の日帰り温泉施設**です。和風の趣ある建物で、駅ホームからも見えるほど駅近にあり、荷物をロッカーに預けて手ぶらで利用できます。

温泉の特徴と楽しみ方:

  • 豊富なお風呂ラインナップ: 極楽湯には内湯・露天合わせて7種類ほどのお風呂があります。ヒノキの香りが心地よい「檜風呂」、季節ごとに湯に変化をつけた「替わり湯(季節湯)」、高濃度炭酸泉を再現した「露天炭酸石張り風呂」などユニークなお風呂が揃っています。特に露天風呂は地下1,000メートルからくみ上げた本物の天然温泉で、泉質はアルカリ性単純温泉。肌あたりが柔らかく美肌の湯として評判です。広々とした岩風呂では、ぬるめのお湯と熱めのお湯が用意されているので、子どもも無理なくのんびり入浴できます。
  • 疲れを癒すリラックス設備: 浴槽以外にも、ジェットバスやマイクロバブルが体をほぐす「シルク風呂」、サウナ(中学生以上)や水風呂なども完備。登山で疲れた足腰をマッサージする絶好の機会です。親がゆっくり浸かりたい間、子どもは浅めの檜風呂でパシャパシャ遊んだり、露天エリアで涼んだりと、思い思いにリラックスできます。
  • 子連れに嬉しいポイント: 小学生以下の子どもには保護者の同伴入浴が必要ですが、おむつの取れていない赤ちゃんでも入浴可能(※公式確認推奨)です。お湯は全体に熱すぎず、露天にはぬる湯もあるので長湯ができます。脱衣所にはベビーベッドが備えてあり、休憩スペースには畳のある広間や漫画コーナーもあり、湯上がりに子どもがゴロゴロできる空間があるのは助かります。館内はバリアフリーなのでベビーカーで入ることもできます(受付で預けることも可能です)。
  • 温泉×グルメ: 館内の食事処では、先述の通り高尾山グルメのとろろ料理や各種和食が楽しめます。入浴後の火照った体に、名物の「とろろ蕎麦」や冷たいデザートはいかがでしょう。子どもには「お子様うどんセット」やカレーライスなどもあり、山登りを頑張ったご褒美に好きなものを食べさせてあげましょう。ソフトクリームやかき氷など甘味も充実しています。

利用案内: 営業時間は朝8時~夜11時(最終入館22時)と長めなので、夕方に下山してからでも十分間に合います。年中無休(臨時メンテ日を除く)で、料金は平日大人1,100円・子供500円(休日はやや増額)ほどです。タオルは有料レンタル・販売がありますが、登山の荷物に余裕があれば持参すると経済的です。館内は全てキー付きロッカー完備で貴重品管理も安心。シャンプーやボディソープは備え付けがあり、ベビーベッド付きの家族更衣室も設置されているので、家族みんなで快適に利用できます。

お風呂嫌いの子も、広いお風呂や泡風呂に大喜びするかもしれません。温泉でさっぱりすれば疲れも吹き飛び、帰りの電車では子どもがぐっすり寝てくれること間違いなしです。登山でかいた汗を流し、体の芯から温まってから帰路につけるのは、ファミリー観光の締めくくりとして最高ですよ。

ワンポイント: 休日は夕方~夜に混み合うことがあります。小さな子を静かに入浴させたい場合は、下山後なるべく早めの時間帯(15~17時頃)に行くか、空いている平日を選ぶと良いでしょう。また、オムツがまだ取れていない子は湯船でのマナーに十分注意し、必要に応じて水泳用オムツを着用させるなど周囲への配慮をお忘れなく。

家族に嬉しいサービス&注意したいポイント

高尾山は子ども連れに優しい設備やサービスが充実していますが、山ならではの注意点もあります。事前に知っておくと安心な情報をまとめます。

【ベビーカー利用について】
高尾山の1号路は道幅が広く舗装されていますが、途中に階段や急坂があるためベビーカーで山頂まで登ることは難しいです。実際、山道でベビーカーを押していると段差で立ち往生したり、周囲の登山者の迷惑になることがあります。そのためベビーカーは麓で預け、抱っこ紐で登るか、ケーブルカーで山上駅まで上がった後に再度ベビーカーを利用することをおすすめします。ケーブルカー清滝駅にはベビーカー預かり(有料)があり、また山上駅にもエレベーターがあるので、もし軽量バギーなどを折りたたんで持ち込めば駅到着後に再度乗せることも可能です(ただしその先の参道も勾配があるので、使うなら山上駅〜サル園付近までの短距離程度にとどめましょう)。

【トイレ事情】
子ども連れ登山で気になるのがトイレですが、高尾山1号路沿いには比較的トイレが多く配置されています。麓の高尾山口駅、ケーブルカー清滝駅にそれぞれ公衆トイレがあるほか、山上駅周辺、サル園入口、薬王院境内、山頂と要所にあります。全て水洗式で比較的清潔に保たれていますのでご安心ください。おむつ交換台は、麓の599ミュージアムや高尾山スミカ(山上駅の商業施設)、サル園などに設置されています。授乳室も599ミュージアムと山上駅構内にあります(山頂ビジターセンター内救護室も授乳可)。登山中に赤ちゃんの授乳が必要になったら、茶屋の隅などでケープを使って授乳することもできますが、前述のような専用スペースを活用するとより安心でしょう。

【休憩スポット】
子どもは大人以上に頻繁な休憩が必要です。高尾山では20〜30分おきくらいにベンチや東屋、茶屋などの休憩スポットがあります。特に**ケーブルカー高尾山駅横の「霞台(かすみだい)展望台」**は眺めも良くベンチも多数あり、序盤の休憩に最適です。薬王院手前の権現茶屋周辺もベンチや売店があり休みやすいでしょう。山頂の大見晴台はもちろん、途中で無理せずこまめに座って水分・おやつ補給をしてください。子どもは「早く山頂に行こう!」と張り切るかもしれませんが、疲れやすいので親が休憩を提案してあげることが大事です。

【混雑を避ける工夫】
高尾山は季節や時間帯によっては非常に混雑します。特に紅葉のピーク(11月中旬の土日)はケーブルカー・リフトともに最大90分待ちになることもあり、登山道も渋滞するほどです。小さな子どもは長時間の列待ちは苦手ですし、人混みの中では自分のペースで歩けず疲労も倍増します。できれば紅葉最盛期は日程をずらすか、早朝出発で混雑を避けましょう。朝8時に高尾山口駅に着くようにすれば、ケーブルカー始発(8:00)に乗れ、人混みもだいぶマシです。逆に9時を過ぎると急激に混み出すので、早起きは頑張る価値ありです。また、行きはケーブルカー利用でも帰りは歩いて下山するとかえって早い場合もあります(行列を避けるため)。子どもの体力と相談しつつ、臨機応変に判断しましょう。

【安全対策とマナー】
山とはいえ高尾山は観光地化されていますが、最低限の安全対策は必要です。子どもには履きなれた運動靴を履かせ、できれば長袖・長ズボンで肌を保護しましょう。帽子は日差しよけになるほか、万一枝や落ち葉が頭に落ちてきた際も守ってくれるので必須です。秋には木の実(ドングリなど)が頭に当たることもあります。刺す虫(ハチやブヨ)が出ることもありますから、虫よけスプレーも持参し、露出部に塗布しておきましょう。万一ハチが近くに来ても手で払ったり大声を出したりせず、静かに姿勢を低くしてやり過ごすよう教えておくと安心です。

また、高尾山は自然公園です。ゴミの持ち帰り動植物を捕ったり傷つけたりしないなど、基本的なマナーを親子で守りましょう。道端の草花を摘み取るのは厳禁です(絶滅危惧種もあります)。「このお花きれいだね」「写真に撮って覚えておこうね」と声掛けし、自然を大切にする心を育むチャンスにしてください。

【もしもの準備】
子ども連れ登山では、急な体調不良やケガにも備えておきたいです。高尾山では山頂のビジターセンターに簡易な救護設備がありますし、各所のスタッフも対応はしてくれます。しかし応急処置できるよう小さな救急セット(絆創膏、消毒液、虫さされ薬、常備薬など)をリュックに入れておくと安心です。特に小さな子は転んですりむいたり靴ずれを起こしたりしがちなので、絆創膏は多めに用意しましょう。

季節ごとの楽しみ方と注意点

高尾山は一年を通じて楽しめますが、季節によって景色や混雑状況、気候が大きく変わります。それぞれの季節の魅力と、訪れる際のポイントを押さえておきましょう。

春(3月~5月):桜と新緑のハイキング

春の高尾山は桜をはじめ色とりどりの花々が彩りを添えます。山麓の高尾山口駅周辺や清滝駅付近にはソメイヨシノが植えられており、例年3月下旬~4月上旬に見頃を迎えます。駅前広場では桜の下で写真を撮ったり、ベビーカーを押しながらお花見散歩も楽しめます。また4月上旬には地元の人が育てた山桜やミツバツツジが山肌を薄紅色に染め、新緑と相まって美しいコントラストになります。

高尾山山頂付近には桜の木は多くありませんが、その代わり野草園では春の山野草が見頃です。タカオスミレ(高尾の名前が付いた希少なスミレ)やシュンラン(春蘭)、イカリソウ、ヒトリシズカなど、この時期ならではの花々を探してみましょう。子どもと一緒に「この花かわいいね」「どんな匂いがするかな?」と観察すると、春の訪れを五感で感じられます。

気候的には、3月はまだ肌寒い日もありますが、4月〜5月は過ごしやすい陽気です。ただし春は天気が変わりやすいので、薄手の雨具や防風上着を用意しておくと安心です。特に山頂は平地よりやや気温が低く風が強いので、春先は上着が必要でしょう。花粉症の家族がいる場合は、マスクやメガネも忘れずに。高尾山周辺はスギ・ヒノキの林が多いため、2〜4月頃は花粉が飛び交っています。

春には**「薬王院の火渡り祭(3月第二日曜)」**などの行事もあります。山麓で行われる修験者による炎の祭典で、一般参加も可能です。この時期に訪れるならそうしたイベント情報もチェックしてみると、普段見られない光景に子どもも興味を示すでしょう。ただし祭りの日は非常に混雑するので、小さな子連れで行く場合は人ごみに注意してください。

夏(6月~8月):森林浴と生き物探し

夏の高尾山は鬱蒼と茂る緑のシャワーが心地よく、森林浴には最適です。標高は低いので涼しい高原…とまではいきませんが、都心に比べれば木陰はだいぶ過ごしやすく、蝉時雨や川のせせらぎなど自然の音が癒してくれます。6月には梅雨で雨が多くなりますが、雨上がりの森はしっとりと新鮮な空気に満ち、木々も生き生きとしています。カエルの鳴き声が聞こえたり、カタツムリを見つけたり、雨の日ならではの発見もありますよ。

7月〜8月はさすがに気温も高くなります。登山中は汗をかきますので、熱中症対策が重要です。帽子は必須、スポーツドリンクなど水分を多めに持参し、こまめに飲みましょう。凍らせたペットボトルをタオルで巻いて持っていくと、溶け出しながら冷たい水が飲め、保冷剤代わりにもなって便利です。子どもは大人より早くバテるので、冷たいおしぼりで首筋を冷やしてあげるなどケアもしましょう。

夏休み期間の高尾山はファミリーで賑わいます。朝顔市や七夕飾りなど季節の催しが行われることもあります。また8月中旬には高尾山薬王院で**「納涼怪談会」**という夜間イベントも。夜のケーブルカー特別運行があり、怪談を聞きながら夜景を見るユニークな企画です(小学生高学年以上向けかもしれませんが…)。

夏ならではの楽しみ方として、昆虫探しがあります。高尾山は昆虫の宝庫で、チョウやトンボ、バッタ、カブトムシやクワガタ(夜間)、セミなど様々です。昼間でも葉陰にセミの抜け殻を見つけたり、鮮やかなチョウ(アゲハチョウなど)が舞う姿を追いかけたりできます。登山道脇の木をそっと観察して、テントウムシやカミキリムシを探してみましょう。動く虫を見つけると子どもたちは大喜びで盛り上がるものです。ただし**毒虫(マダニ、アブ、毛虫等)**には十分注意してください。むやみに藪に入らず、触らないのが鉄則です。

また、夏の高尾山では**「高尾山ビアマウント」**というビアガーデンが山頂駅横の展望台で開催され、大勢の人が夕方以降訪れます。子連れの場合はビアガーデン利用は難しいかもしれませんが、それに伴いケーブルカーが21時ごろまで延長運転されるため、夕暮れ〜夜の高尾山を体験するチャンスです。日中の暑さを避け、午後遅めに登って夜景を見ながら下山するという楽しみ方もできます(ただし夜道を歩く場合は懐中電灯必須、子どもが怖がる場合もあるので無理は禁物)。

秋(9月~11月):紅葉と味覚のベストシーズン

秋の高尾山は年間で最も人気のシーズンです。10月中旬から木々が色づき始め、11月上旬〜中旬にかけて山全体が赤や黄色に染まる紅葉の絶景が広がります。特に1号路沿いはモミジやイチョウの巨木が多く、まさに**「紅葉のトンネル」**状態になります。薬王院境内のカエデも真っ赤に染まり、天狗の像やお堂とのコントラストが写真映えします。山頂から見下ろす山並みもカラフルに彩られ、この時期ならではの美しさです。

紅葉と同時に味覚も楽しみたいのが秋。高尾山の茶屋では焼き団子や焼き栗、キノコ汁などが美味しく感じられる季節です。ふもとの土産物屋では採れたての柿や栗菓子なども売られ、秋の実りを実感できます。もしタイミングが合えば、10月〜11月に開催される「高尾山もみじまつり」に参加してみるのも良いでしょう。週末を中心に山麓で太鼓や琵琶演奏などのステージイベントが開かれ、薬王院では限定御朱印や特別精進料理の提供があったりします。子ども向け企画は少ないですが、お祭りの雰囲気を味わうだけでも楽しいはずです。

ただし繰り返しになりますが、紅葉ピーク時の混雑は覚悟が必要です。特に11月の土日は「高尾山に行くまでの電車から満員」という状況も珍しくなく、駅の改札制限やケーブルカーの長蛇の列は日常茶飯事です。子どもと紅葉を楽しむなら、平日や朝早くなど工夫しましょう。平日でも観光ツアーなどで人は多めですが、週末に比べればかなりゆったり見られます。もし週末しか行けない場合は、朝一番で登って昼前には下山開始するくらいの計画が良いでしょう。午後になると下山客が集中し、ケーブルカー・リフト下りも1時間以上待ちになります。

秋の気温は爽やかですが、11月後半になると急に冷え込む日もあります。脱ぎ着できる上着を持参し、汗冷えにも注意しましょう。日暮れも早くなってきますので、15時を過ぎると山の中は薄暗くなります。遅くとも16時には下山するかケーブルカーに乗るつもりで行動すると安心です。

冬(12月~2月):澄んだ空気と富士山ビュー

冬の高尾山は空気が澄み渡り、遠望がきく季節です。晴れた日には山頂から南西方向に富士山がくっきりと見え、「まるで写真みたい!」と感動する眺めが広がります。特に1〜2月は空が冴えわたり、雪化粧した富士山の姿が青空に映えて見えることでしょう。都心方面の眺めもよく、新宿副都心や東京タワー、スカイツリー、横浜方面のランドマークまで一望できます。双眼鏡があれば、子どもと一緒に「見えた!あれがぼくの街のほうかな?」と話が弾むでしょう。

冬の朝、運が良ければ「ダイヤモンド富士」という現象を見ることもできます。これは太陽が富士山頂に沈む(または昇る)瞬間に光り輝く現象で、例年12月下旬〜1月上旬頃の夕刻、高尾山から見られるタイミングがあります。その時期にはカメラマンが集まりますが、子どもにはなかなか長時間待つのは難しいかもしれません。ただ、夕焼けに染まる富士山だけでも十分きれいなので、冬に訪れるなら少し遅めの時間まで山頂で待ってみるのも一案です(防寒を万全に)。

冬季はオフシーズンで平日は人も少なく、静かな山歩きを楽しめます。ただし、防寒と安全対策はしっかりと。高尾山でも1〜2月には積雪や凍結があります。雪が積もれば子どもは大はしゃぎで雪遊びをしたがりますが、足元は滑りやすく危険です。運動靴でも滑り止めチェーンを装着するか、アイゼン(簡易スパイク)を持参すると安心です。幸い1号路は積雪時は早めに除雪されることが多いので、晴天日を選べばさほど問題なく歩けるでしょう。特に日陰になりやすい箇所(杉林の中や谷沿い)は凍っていることが多いので、子どもの手をしっかり引いてあげてください。

服装は真冬の登山仕様で、防風防寒のジャケット、帽子、手袋はマストです。耳まで隠れるニット帽やネックウォーマーがあると子どもも寒さが和らぎます。動いているときは暑く感じても、休憩中は体が冷えるので、体温調節できるよう重ね着で調整しましょう。カイロをポケットに忍ばせておくと、寒がりな子でもニコニコで歩けます。

冬ならではのイベントとして、初詣初日の出があります。1月1日〜3日の薬王院初詣は、東京有数の参拝客でごった返します。ケーブルカーも終夜運転され大混雑しますので、小さな子連れで深夜〜早朝に訪れるのはあまりおすすめしません。どうしてもという場合は抱っこ紐でしっかり抱え、厚着+防寒具をして挑みましょう(人の多さに大人でも疲弊しますが…)。一方、高尾山頂から見る初日の出は非常に美しく、家族の良い思い出になるかもしれません。こちらも深夜から登る必要がありますが、比較的若者が多い雰囲気で子連れは稀です。子どもがある程度大きくなってから、挑戦してみるのも良いでしょう。

冬は人が少ない分、山の静けさや野鳥の姿が感じられる季節でもあります。ウグイスやシジュウカラなど冬でも見られる鳥を探したり、リスが木から木へ飛び移る姿を目撃できるチャンスも!寒さ対策を万全にして、澄んだ冬の高尾山もぜひ体験してみてください。

モデルコース:子どもと巡る高尾山 日帰りプラン

最後に、小さな子ども連れファミリー向けに高尾山日帰りモデルコースを提案します。子どものペースを考慮し、無理なく主要スポットを楽しめるプランです。季節や状況によって柔軟に調整しつつご活用ください。

8:00 高尾山口駅 集合・出発
朝の早い時間に駅到着。トイレは駅構内にもあります。この時間なら駅前は空いているので、写真スポットである「高尾山口駅」看板前で家族写真を撮っても◎。早めに着いた場合は、まず「TAKAO 599ミュージアム」に立ち寄りましょう(8時開館)。オープン直後で貸切状態の館内をゆっくり見学し、高尾山の自然情報を予習。夏ならじゃぶじゃぶ池でひと遊びもOK。

9:00 ケーブルカー清滝駅から乗車
ミュージアムから歩いて5分、清滝駅でケーブルカーの切符を購入。週末は徐々に混んできますが、9時前なら並ばず乗れることも。ベビーカーはここで預け、抱っこ紐装着で乗車しましょう。6分間のスリルライドに子どもは興奮気味。「すごい坂だね!」と声を掛け合いながら山上へ。9:06発の便に乗れればベストです。

(もし子どもがリフト希望の場合:9時からリフト営業開始。リフト山麓駅まで歩き、始発に乗って9:15頃山上着。ただしこのプランではケーブルカーを想定します)

9:15 高尾山駅(山上駅)着 → サル園・野草園
ケーブルカーを降りたらまず霞台展望台へ。晴れていれば東京方面の景色を眺めつつ、深呼吸して山の空気を味わいましょう。ちょっと肌寒ければ上着を着るなど調整を。すぐ右手のさる園へ移動し、9:30の開園と同時に入園します(朝イチは比較的空いていて猿も元気に動き回っています)。10時前までサルたちを観察。エサやり体験をしたり、顔出しパネルで写真撮影したり、野草園も軽く散策しましょう。おむつ替えやトイレ休憩が必要ならここで済ませておきます。

10:15 サル園を出発 → 登山再開
1号路をゆるゆると登り始めます。道端の草花や鳥の声に耳を傾けつつ、子どもと話しながら進みましょう。「次はタコ杉を目指そうね」と小さな目標を作ると歩きやすいです。10分ほどでたこ杉に到着。巨大な根っこにびっくり!ここで写真タイム&水分補給。周りに他のハイカーもいますが譲り合って記念撮影を。

10:30 女坂をのんびり登る
タコ杉を過ぎたら、無理せず女坂ルートへ。木立の中の坂道をゆっくり歩きます。途中に見える小さなお地蔵さんや石仏に「こんにちは〜」と挨拶しながら進むと子どもも飽きません。少し疲れが出てきたら、大人が「がんばれ、がんばれ♪」と歌ったり、「あ、木の上にリスはいないかな?」など気をそらしつつ歩きます。子どもが「抱っこ〜」となったら無理せず抱っこ紐でサポート。

10:50 薬王院 到着・見学(〜11:20)
女坂を登り切り、荘厳な薬王院の山門前に出ます。まずは天狗像にご挨拶し、境内へ。11時の鐘が鳴るかもしれません。本堂にお参りし、願叶輪潜を親子でくぐったり、六根清浄の石車をクルクル回したりして楽しみましょう。売店でユニークなお守りをチェックしたり、天狗の面に興味を示す子もいるかも。境内からの景色も良いので、ベンチで休憩がてら景色を見つつ、「もうすぐ山頂だね」と声を掛けます。※本堂前は階段や人混みがあるので、迷子や転落に注意。

11:20 薬王院を出発 → 山頂へ
本堂横の階段を下って、山頂方面へ最後の上りに向かいます。ここから山頂までは15分程です。幼児には少ししんどい区間なので、疲れが見えたら一旦抱っこしてペースアップもありです。「もう一頑張りでご飯食べられるよ!」とランチの話題で励ましつつ進みましょう。

11:40頃 高尾山山頂 到着!
ついに599mの山頂に到着です。まずは頑張った子どもを褒めて、一緒に達成感を味わいます。山頂標識で写真撮影をし、広場の様子をひと巡り。富士山が見えていたらぜひ教えてあげてください。「あれが富士山だよ」「雪がつもってるね」と話すと、子どもも「ふじさん大きいね!」と感激するでしょう。

12:00 山頂で昼食休憩(約1時間)
山頂の大見晴台でお昼ごはんにします。天気が良ければレジャーシートを敷いてピクニック。おにぎりやサンドイッチ、持参したお弁当を広げましょう。暖かいお茶やスープをポットに入れてきた場合は、このタイミングで注いでホッと一息。子どもの大好きなおやつも忘れずに。食後に売店でデザートのソフトクリームを買ってあげるのも良いですね(寒い日は甘酒やお汁粉も)。

食事の後はトイレを済ませ、余裕があればビジターセンターにも立ち寄ります。展示を少し見て、「これが高尾山にいる鳥だって」「また探しに来ようね」と会話してみてください。山頂でのんびり過ごしすぎると子どもが飽きることもあるので、1時間程度休んだら下山に移ります。

13:00 下山開始(ケーブルカー乗り場へ)
疲労具合と混雑を見て、ケーブルカーで下山するか歩いて下山するか決めます。今回はモデルコースとしてケーブルカーを利用します。山頂からケーブルカー高尾山駅までは20分ほど舗装路を下ります。下り坂は転びやすいので、子どもの手をしっかり握ってゆっくり歩きましょう。13:20頃には山上駅に到着する計算です。

(もし子どもがまだ元気なら、自然研究路4号路(吊り橋コース)など別ルートで下山するアレンジも可能。ただし4号路は土道で段差もあるので、幼児連れには1号路を戻る方が無難です)

13:30 ケーブルカーで清滝駅へ
復路のケーブルカーに乗車します。午後になると下りも多少列ができますが、5〜10分待てば順番が来るでしょう。リフトを希望する場合、この時間だとリフトはやや並ぶかもしれません(休日は20分待ちも)。小さな子がぐずらなければリフト下山も爽快ですが、眠そうなら安全優先でケーブルカーをおすすめします。

6分の乗車中、子どもはお疲れモードかもしれません。抱っこしてあげるか座席が空いていたら座らせてあげましょう。景色を見せつつ、「また登れたね、すごいね」と達成感を共有してください。

13:40 清滝駅 下山完了 → 温泉へ移動
清滝駅に到着。預けていたベビーカーを受け取ります。歩き疲れた子はベビーカーに乗せ、駅から高尾山口駅方面へ戻ります。途中、土産物屋で天狗グッズやおやきを買いたければ立ち寄ってもOK。無理せず駅隣の温泉へ向かいましょう。

13:50 京王高尾山温泉 極楽湯 入館
早めの時間に温泉に入れば、混雑も少なく快適です。受付で入館手続きをし、貸タオル等を借りつつ脱衣所へ。パパとママで別れてそれぞれ子どもの着替えを手伝い、ゆっくり入浴しましょう。男湯・女湯で分かれるので、親子で入れるよう同性の親が子どもと入るようにしてください(小学生以下の異性の子どもの入浴は施設の決まりに従いますが、一般的に小学校低学年くらいまで可の場合が多いです)。家族全員さっぱりして、登山の汗と疲れを洗い流してください。

15:00 お風呂上がりの休憩・食事
入浴後は館内休憩処でひと休み。喉が渇いていれば牛乳やジュースを飲んでも。子どもがぐずらなければ、このまま早めの夕食を温泉施設で済ませてしまう手もあります。とろろ飯や麺類、デザートまで揃っているので、お腹の空き具合に合わせて注文しましょう。まだ時間が早いようであれば、休憩スペースで子どもを少し仮眠させても良いですね(畳敷きの大広間などがある場合)。

16:30 高尾山口駅 発(帰路へ)
十分に休養できたら、いよいよ帰路につきます。高尾山口駅に戻り、京王線またはJR線(隣の高尾駅から)で帰宅しましょう。子どもは電車に揺られながらウトウト…なんてことも多いでしょう。抱っこ紐やベビーカーで安定した姿勢を確保し、帰りも安全に気を付けます。

17:30〜18:00頃 自宅・ホテル着
都心方面なら1時間ほどで戻って来られます。今日は一日たくさん歩いて遊んで、きっと子どもも大満足&ぐっすりです。家に帰ったら「どの場面が一番楽しかった?」とぜひ聞いてみてください。サルかな?ケーブルカーかな?子どもの印象に残ったことが分かると、次回のプラン作りにも役立ちますよ。

以上がモデルコースの一例です。時間配分はお子さんの様子で前後させながら、余裕を持って行動するのがコツです。無理のない行程で、**「また山に行きたい!」**という楽しい記憶を刻んであげましょう。

持ち物チェックリスト&服装アドバイス

最後に、子ども連れで高尾山に行く際に持って行くと安心な持ち物や、快適に過ごすための服装のポイントをまとめます。準備段階でチェックしてみてください。

<持ち物リスト>

  • リュックサック(両手が空くもの) … 抱っこ対応なども考えると、親の荷物はリュックにまとめるのがベスト。
  • 飲み物(多めに) … 子ども用の水やお茶、スポーツドリンク。登山中は自販機が限られるので各自500ml以上は携行。夏は凍らせペットボトルなども◎。
  • 食べ物・おやつ … おにぎりやパンなど軽食、子どもの好きなおやつも多めに。歩きながらすぐ食べられる小分けお菓子(ラムネ、グミ等)や塩分補給のタブレットもあると良い。
  • 着替え … 子どもは汗だく&汚れ必至なので、下着やシャツ、靴下の替えを用意。夏場は速乾Tシャツ、冬場は肌着を重ねて調整。
  • タオル … 汗拭きや突然の雨で体を拭く用。ハンドタオルも複数枚。温泉に寄るならバスタオルも。
  • レジャーシート … 休憩やお昼時に敷いて座れる薄手のもの。コンパクトに畳める1〜2畳サイズがおすすめ。
  • ビニール袋(ごみ袋) … ゴミ持ち帰り用に数枚。濡れた衣類や拾った木の実を入れるのにも便利。子どもが「ドングリ持ち帰る!」と言い出すことも多いです。
  • 日焼け止め・虫よけ … 日差しが強い日は日焼け止めクリームを。森の中では蚊やブヨ除けに虫よけスプレーが効果的。
  • 帽子 … 子どもも大人もつば付き帽子を着用。夏は日射病防止、秋は落ち葉から目を守るためにも有効です。あご紐付きだと風で飛ばされにくい。
  • 救急セット … 小さなポーチに絆創膏、消毒液、虫刺され薬、子どもの常備薬、酔い止め(乗り物用)などを入れて。ウェットティッシュもあると傷口清潔にできます。
  • 抱っこ紐 … 乳幼児連れは必携。歩ける子でも「抱っこ」になった時のため、軽量な予備抱っこ紐があると助かります。
  • 雨具 … 急な雨に備えて、小さく折りたためるポンチョや子ども用レインコートを各自分。晴れ予報でも山の天気は変わりやすいので忘れずに。
  • 懐中電灯 … 日帰りでも念のため、小型ライトを一つ。万が一日没が近くなった際やトンネル通過時に重宝。
  • カメラ・スマホ … 思い出を残すために充電充分に。景色や家族の笑顔をたくさん撮りましょう。子どもにインスタントカメラを持たせて自由に撮らせるのも面白いですよ。

<服装アドバイス>

  • 歩きやすい靴: 子どもは運動靴やスニーカーで十分です。サンダルやクロックスは滑りやすく危険。大人もスニーカーか軽登山靴で、ヒールのある靴はNG。靴下は厚めのものを履かせ、靴ずれしないように。
  • 動きやすい服: 基本は速乾性・吸汗性のあるTシャツやトレーナー+長ズボン。夏でも林の中は虫刺され予防のため長袖長ズボンが望ましいです。冬はフリースやダウンなど保温性の高い服に、防風ジャケットを重ねましょう。子どもは体温調節が苦手なので、重ね着で調整できるようにしておくと良いです。
  • 帽子&リュック: 帽子は必須(夏は通気性、冬は保温性重視で)。子どもにも小さなリュックを背負わせると、自分の水筒などを入れて「ぼくもハイカーだ!」と張り切ってくれるかも。ただし親がすぐ持てるよう、荷物は軽めに。
  • 汚れてOKな服: 山遊びで土や汗で汚れるので、高級な服は避け、汚れても構わない動きやすい服を選びましょう。ズボンは擦り切れてもいいような丈夫なものが◎。

服装と持ち物を万全にしておけば、現地で困ることも減ります。特にお子さんの機嫌を左右するおやつ・飲み物・休憩グッズは抜かりなく準備を。また、前日までにお子さんと一緒に荷造りをし、「これ持っていこうね」と話し合うと、子どもも当日への期待が高まりスムーズに行動できるでしょう。

子どもを飽きさせない!高尾山をもっと楽しむ工夫

最後に、親子で高尾山を歩く際に子どもが飽きずに楽しめるアイデアをいくつかご紹介します。ちょっとした工夫で、子どもの探究心や遊び心を刺激して充実度がアップします。

  • スタンプラリー&チェックリスト: 高尾登山電鉄の各所(駅やビジターセンター)でスタンプを設置している場合があります。事前にノートを用意し、スタンプ帳代わりにして押していくと、子どもは「次はどこで押せる?」と楽しみになります。また、親が独自に「今日見るものリスト」を作ってあげるのも◎。例えば「リスを見たらチェック」「赤い花を見つけたらチェック」「天狗焼きを食べたらチェック」など項目を作り、できたらシールを貼っていく…という簡単なラリーをすると、ゲーム感覚で意欲的に歩いてくれます。
  • 双眼鏡で宝探し: コンパクトな双眼鏡を持って行き、「あそこに何が見えるかな?」と景色の中から目標物を探す遊びをするのもおすすめです。遠くの塔や建物を見つけたり、木の上の鳥を見たりと、ただ歩くだけでは気づかないものに目が向きます。「ぼくの家はどの方向だろう?」なんて話も盛り上がります。100円望遠鏡をねだられるより、自前の双眼鏡で存分に見せてあげた方が経済的でもあります。
  • ごほうび作戦: 子どもが疲れてぐずりそうになったら、「山頂に着いたらおやつにしよう!」「帰りに温泉でアイス食べようね」と小さなごほうびを提示するのは効果的です。ただし、あまり高価な物やすぐ叶えられない約束は逆効果なので注意。高尾山には魅力的なご褒美(天狗焼きや温泉、ソフトクリーム等)がたくさんあるので上手に利用しましょう。
  • 歌やクイズで気を紛らす: 登りでしんどそうなときは、一緒に歌を歌ったり、山にまつわるクイズを出したりするのも良いです。「山ってどうしてできたか知ってる?」「一番高い山は富士山だけど、じゃあ高尾山は何メートルでしょう?」なんて問いかけると、大人も子どもも意外と夢中になって考えてしまいます。疲労を忘れさせる効果がありますよ。
  • 自然に触れる体験: 高尾山は自然そのものが最高のおもちゃです。落ち葉を集めてシャカシャカ踏んで音を楽しんだり、大きな木に触れて幹の温度を感じたり、木の実を拾って数を数えたり。安全な範囲で自然と触れ合わせ、「この葉っぱおもしろい形だね」「石に触ると冷たいね」など、五感を意識させる声掛けをしてみましょう。大人にとっては当たり前の森の風景も、子どもには新鮮な発見の連続です。急いで歩くより、立ち止まって自然を観察する余裕をもってください。

こうした工夫をしつつ歩けば、きっと子どもにとって高尾山は**「また行きたい場所」**になるはずです。無理なく、楽しく、大人も子どもも笑顔で下山できれば大成功ですね。


まとめ:高尾山は親子の思い出づくりに最高のフィールド!

高尾山の楽しみ方を、施設紹介からコース案内、季節ごとの魅力、子連れならではのポイントまで幅広くご紹介してきました。関東圏からの日帰りでこれだけ充実した自然体験と観光ができるスポットは他にそう多くありません。ケーブルカーやリフトでワクワクし、山道でドキドキ探検し、美味しいものを食べ、温泉でほっこり癒される…。高尾山はまさにファミリーにとってのエンターテイメントパークと言えるでしょう。

初めての子連れ登山で不安もあるかもしれませんが、高尾山は整備が行き届きサポートも充実しています。今回ご紹介したモデルコースやアドバイスを参考に、ぜひご家族で高尾山を訪れてみてください。四季折々の自然と文化に触れる中で、子ども達の笑顔や成長した姿、新たな一面を発見できるかもしれません。

山頂からの景色を眺めながら食べるおにぎりの味、サル園で一緒に笑った時間、頑張って歩ききった達成感…そうした一つ一つが、家族の宝物の思い出になることでしょう。そしてきっと帰り道には、「次はいつ来ようか?」「紅葉の時期も来てみたいね」と、未来の計画が自然と話題に上るはずです。

高尾山は一年中がベストシーズン。 何度訪れても新たな発見と感動があります。ぜひご家族皆さんで安全に楽しく、高尾山で素敵な一日をお過ごしください。子ども達の笑顔とともに、「また行こうね!」の声が聞けますように。

それでは、行ってらっしゃい! 高尾山の山頂で、たくさんの笑顔が咲きますように。

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