小石川後楽園

小石川後楽園
photo by @mamy._.m
江戸時代に水戸徳川家の江戸上屋敷に作られた築山泉水回遊式の美しい日本庭園です。その美しさと歴史的価値から国の特別史跡だけではなく特別名勝にも指定されています。

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小石川後楽園の基本情報


【スポット】小石川後楽園
【ふりがな】こいしかわこうらくえん
【 住所 】東京都文京区後楽1-6-6
【アクセス】JR中央線・総武線 飯田橋駅 徒歩約8分
【最寄り駅】飯田橋駅
【営業時間】9:00~17:00(入園は16:30まで)
【 料金 】一般300円、65歳以上150円、中学生以下無料
【クーポン】東京都庭園美術館の年間パスポートで入園無料


回遊後は光圀の見れなかった頂へGO!! 楽しみ方いっぱいの小石川後楽園

小石川後楽園。「国指定・特別史跡及び特別名勝」と仰々しい冠言葉に飾られるこの庭園は、実際に足を運べば、その多彩自然に魅了され、回遊性の高さに驚き、都会に於ける緑の重要さと素晴らしさを再認識できる場所です。東京都を代表する庭園の1つであり、お花見や紅葉観賞スポットとしての注目度も高い場所なので、いろいろな角度からご紹介します。

小石川後楽園へのアクセス

小石川後楽園の出入り口は1箇所だけで、幾つかの駅が最寄り駅と紹介されることが多いですが、一部の駅からは道順がやや複雑だったりするので、ご検討いただける様お願い致します。大江戸線利用以外では、少し歩くことになるのが特徴と言えます。

JR総武線:飯田橋駅
東口を出て徒歩8分。飯田橋駅東口の大きな歩道橋を渡っていくことになります。案内看板なども出ていますが、小石川後楽園を遠目から目視できる様な環境にはなく、初めて行かれる方は「こっちで平気?」という気持ちを抱くかと思います。表示やナビアプリをフル活用してください。

都営大江戸線:飯田橋駅
同じ飯田橋駅でも、この大江戸線のC3口から地上に出てくると「最も近い」位置に出ることが出来ます。徒歩2〜3分で小石川後楽園です。この大江戸線のC3地上出口は「待合せ場所」活用することもお勧めです。ナビやアプリで明確に表示されますし、どの路線で庭園を目指しても、最後の徒歩アクセスの最中にが、およそこの出口付近を通過します。混雑期の小石川後楽園は、入場着地の前が待合せの人で埋まってしまったり、入場列ができていたりするので、少し離れていてわかり易いここは覚えておくと良いでしょう。

東京メトロ:飯田橋駅・後楽園駅
どちらの駅からも8〜10分程度は歩くことになります。いずれの駅にもきちんと庭園方向への標識・看板の掲示があるので迷う事は少ないと思いますが、特に後楽園駅からは、庭園の外周をひたすら歩くので距離を感じるかもしれません。

小石川後楽園の歴史

小石川後楽園を語る際に、必ず出てくるキーワードが『大名庭園』です。その字のごとく、大名という、時の権力者が楽しむ事を趣旨に作庭された空間で、工夫を凝らし、見て楽しみ、歩いて楽しむというコンセプトが用意されたという事を念頭に庭園を歩くと、きっと往時の大名が見ていたものと同じ景色が見えてくるはずです。

さて、この「大名」とは一体誰の事を指しているのでしょうか? それは、知らぬ者はいない、水戸徳川家の事を意味しています。元々、この庭園があるエリアは徳川家の屋敷群が建っていた場所で、寛永6年に庭園が誕生しました。時の藩主は光圀。光圀はこの庭園の命名に際して、中国は民の儒学者に意見を求め、中国の教えを基礎として庭園を命名しました。

「(士は正に)天下の憂いに先立ちて憂い、天下の楽しみに遅れて楽しむ」

これは、士(ここでは政治を司るもの、の意味)の治世に於ける心構えを説いた教えです。広く「先憂後楽」という言葉でも知られますが、「秀でた指導者は、その人民たちに先立って国家を憂い(心配し、思いを巡らせる)、天下泰平の喜びは、人民たちが大いに満喫した、その後に楽しむ」という事を意味します。

もうお気づきだと思います。この教えから、光圀が『後楽園』と名付けたのです。

小石川後楽園の特徴

庭園をカテゴライズする言葉は幾つかあるのですが、この庭園のカテゴリーは「回遊式」「築山泉水」に属します。前者は「歩いて回って、いろいろな角度から提案を楽しめる」スタイルを示しており、大名が季節の木々や花を愛で、月を眺め、この中を歩き回っていたことの裏付けでもあります。「築山」「泉水」は字の通りで、人為的に山を築き、泉を作って、水を張ったという事です。

庭園名称の話とも繋がるのですが、庭園の景観は中国各地の景勝地を模した作りになっています。光圀が儒教思想に傾倒していた事を背景とし、湖や河川、山や里山など、当時の中国の素朴で質素な、自然風景がここに取り入れられました。

冒頭のリード文で「仰々しい冠言葉」という表現を用いましたが、「特別史跡」「特別名勝」という2つの指定を重複指定されている場所は、日本でもかなり限られています。東京では浜離宮恩賜庭園が同様で、他に、京都の金閣寺や銀閣寺、広島県の厳島など、全国で9つしかありません。

小石川後楽園を代表する花々と木々

小石川後楽園と言えば、春の桜と秋の紅葉。その時期が来れば、東京のニュース番組の開花情報や色づき情報に必ず名前を連ね、いざそのピークが来ると入場制限がかかってしまう程に人が押し寄せています。混雑を避ける方法は無く、5分咲きや7分咲き、散り際などに美学を見出し、大名気分に浸る方法もお勧めです。尚、桜の木の数だけを見れば、そこまで多くはないという点にはご注意ください。小石川後楽園はしだれ桜で有名で、都内ではなかなか自由に枝を伸ばせる桜が少ない事もあり、この伸びやかに大きく枝垂れる姿が愛されています。

その他の季節に目を向けて見てみると、まずは菖蒲や紫陽花といった初夏の花。小石川後楽園で特に有名なのは前者で、花菖蒲田があり、こちらも東京の季節のニュースなどで取り上げられる事が多いです。この他に、特別な存在として「梅」が挙げられます。光圀が梅をこよなく愛したと言われる事も手伝ってか、庭園の奥には梅園が構えられています。夏場には睡蓮や蓮の花が湖面に広がる姿でも知られますが、花を見たければ開園直後の早い時間をお勧めいたします。

小石川後楽園でバードウォチング

小石川後楽園では、稀に双眼鏡を持った人が歩いていたりします。そして、園内の特定箇所で大きなカメラを三脚に固定し、湖面を見つめる一団も。これ、みなさん、鳥狙いの方々です。特にカワセミ撮影のスポットしての認知度は相当なもの。庭園の構成が自然味に溢れている事から、様々な構図が狙えるとの評価で、その他の野鳥も、東京には少なくなっている、本来の生態系に魅力を感じて集うようです。

小石川後楽園の園内施設

園内に立つ「涵徳亭」という施設は一般の入園客が立ち入れる場所ではありません。こちらは有料・事前予約制の「集会場」という位置付けにあり、元々はお茶やさんとして営業されていた施設が、昭和に再建されたものです。また、この付帯施設として「お休み処:涵徳亭美都屋」があります。一般的には、こちらの方を「涵徳亭」と呼んでいる事も多い様です。軽く喫茶や食事を頂く事が出来たのですが、平成30年9月現在は施設改修で休止となっています。公式リリースでは再開は平成31年の3月との事。

一方で、ニューオープンしたのが「グッズショップ:小石川後楽園葵屋」さんです。言うに及ばす徳川の「葵」です。こちらの庭園オリジナルのグッズや、東京都管理の9庭園が制作している様々なグッズをお買い求めいただけます。最近では特に、庭園の特徴をデザインした手ぬぐいが大人気の様です。

小石川後楽園訪問記

当方は、桜や紅葉のピークよりも、冬の小石川後楽園がお気に入りです。冬は雪吊りなどが行われ、庭園の静かな雰囲気が強調される他、降雪などがあった日は入園客も大変少なく、中国の自然風景を散りばめたこの庭園の美しさが最も引き出されると感じます。一方で、都会の庭園らしく、借景には高層ビルが立ち並びます。外国からのゲストなどは、この混在が日本らしいと表現する事が多い様に感じます。

また、この庭園のもう1つの楽しみ方は「上から」眺めることです。庭園から少し歩くと、文京区役所の入る「文京シビックセンター」があります。ここは一般の方も出入りが自由で、ここの25階には無料の展望ラウンジがあります。新宿の高層ビルの後ろに富士山が大きくそびえる、This is Japan!!な写真が撮影できる場所として大変有名で、東京タワーやスカイツリー、他にも本当に沢山のものを見られるのですが、その中に小石川後楽園も含まれます。庭園を散策した後にここに登れば、大名でさえ見ることの出来なかった小石川区楽園を見ることが出来るはずです。都内庭園の中では、比較的「地味」な部類かもしれませんが、こういう庭園にこそ美が宿ると私は感じます。

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