大畑駅
photo by @seiko1202
大畑駅の基本情報
【スポット】大畑駅
【ふりがな】おこばえき
【 住所 】熊本県人吉市大野町
【アクセス】くま川鉄道湯前線 大畑駅
【最寄り駅】大畑駅
【営業時間】年中無休
【 料金 】無料
【クーポン】なし
日本で唯一のものがあるという大畑駅へ行ってみました
九州の熊本県にある大畑駅。鉄道ファンならほとんどが知っている駅ですが、最近ではアニメファンなどにも話題になっている駅です。2017年8月25日にはあの豪華寝台列車「ななつ星in九州」もこの駅に発停車し、多くの鉄道ファンやカメラマン、地元の方々が集まりました。
もちろん私も行きましたが、真っ赤な観光列車いさぶろうと真っ黒なななつ星とのホームでの共演もあり、いい思い出となりました。ここではその大畑駅に関することを書いていきたいと思います。
大畑駅の概要
九州中央に位置し、熊本県と宮崎県、鹿児島県を結ぶ肥薩線。その中の大畑駅は人吉駅の一駅隣にあり、標高が一番近い矢岳駅とも一駅隣となっています。
当時の蒸気機関車ではのぼることができない急坂であったために、スイッチバックとループ線を使った日本唯一の構造となっている大畑駅は機関車の休憩と補給をかねた駅として設置されました。そのため付近には民家はなく、集落に出るためには3時間以上歩かなければいけません。
ちなみに大畑駅の呼び名は「おこばえき」です。これは「大きなこば」という意味で春前に農家が焼畑のことを「こば」と呼んでいたことから由来するとのことです。
また1日の便数は上り下りがそれぞれ5便で、その中には熊本駅から鹿児島吉松駅へ向かう観光列車「いさぶろう号」、吉松駅から熊本駅へ向かう「しんぺい号」がそれぞれ2便ずつあります。
大畑駅の歴史
肥薩線(当時は鹿児島本線)が人吉駅経由で建設されるにあたり、もっとも難所となったのが、熊本県の人吉駅から鹿児島県の吉松駅の間でした。
その工事は明治38年に着手され、作業用の道路を開き、人馬の力で資材を運搬、トンネル工事では出水などがありかなり難航したようです。最も難関である大畑ループ線は、人吉方面からトンネルを抜け、そしてトンネルの上の山を一回りして勾配を緩和するというものでした。しかし緩和したと言ってもその傾斜の数字30パーミルほどと、当時の蒸気機関車が列車を牽引して登るにはほぼ限界に近い坂道でした。
蒸気機関車がこのループ線を登るにあたり、通常はループ線に入る前に休憩基地となる駅や信号所を設置するのですが、そこに設置出来る平坦な土地を設けることができなかったために、ループ線に差し掛かかって直ぐの場所にスイッチバック形式で駅を設置したそうです。こうして、厳しい地形の山奥に日本で初めてのループ線とスイッチバックが共存する駅が誕生したのです。
蒸気機関車時代が終わり、ディーゼル列車も結構な勾配を登れるようになったため、この様な特殊な駅ができることはなくなり、この大畑駅は日本初で唯一のループ線の途中にあるスイッチバック駅となっています。
大畑駅周辺の説明
大畑駅は木造の無人駅で、駅改札口には観光列車いさぶろう・しんぺいを模した撮影スポットがあります。
改札口から線路を渡れば島ホームとなっていて、ホームの先には朝顔形の水槽があります。これは湧水を利用した洗顔場で朝顔鉢、朝顔水と呼ばれていたようです。蒸気機関車時代に駅員や乗客が、煙りや煤で真っ黒になってしまった顔や手を洗うために利用されていたのことでした。今でも水が湧いているので、すぐそばには「この水は飲めません」と看板が立てられています。
また、駅正面左側には高さ6メートル、直径4メートルほどの石造りの円形ドームがあります。これは大量の水を必要とした蒸気関車のための給水用として造られたもので、当時は石造りの土台の上に鉄製の水槽が据えられていたようです。
大畑駅の名刺
木造りでクラシックな風情がある駅舎内の壁、窓ガラスなどありとあらゆるところに無数の名刺が張ってあります。
駅改札口の窓ガラスにもびっしりと名刺が張ってありました。これは大畑駅に自分の名刺を張ると出世するとのことですが、いまだに誰が言い出したのかわからないようです。
地元の方の説明によると平成4年ころから始まったようだとのことでした。そしてよく見てみると名刺だけではなく、定期券やメモ帳を破いたようなもの、お手紙なども貼ってありました。皆さんお願い事や、旅の感想などを書いていて微笑ましい気分になりました。
神社の絵馬、または七夕の短冊的な感じで観光地にきた思い出として名刺を張っていく人が多いようです。
大畑駅のスイッチバック
駅からスイッチバックの様子を見ることができます。列車は人吉方面からのトンネルを抜けて、駅構内に入ってきます。そして来た方向に戻っていき別路線へと入っていきます。そして一旦停車し運転手が運転席を前から後ろへ移動します。そして再出発し切り替わった路線からループ線へと入っていきました。ループ線は駅構内からはその曲線を見ることはできませんが、トンネルの上付近をループ状に巻いて行く造りになっているようでした。
この場所はたいへんな山の奥にあり、山を切り開くためにかなり苦労され、13人ものかたが工事中に亡くなったとのことです。駅周辺のループ線が見える場所には慰霊碑が立てられ、工事で亡くなった方がループ線を走る列車の姿を見ることができるようにしてありました。
大畑駅の夏目友人帳
大畑駅は月刊LaLa連載中の緑川ゆき先生原作の夏目友人帳の舞台ともなったことがあるようです。
夏目友人帳とは人と妖怪のかかわりがテーマの漫画です。原作者の緑川ゆき先生の故郷は調べてみると熊本出身であり、アニメ化の際には球磨地方一帯のロケハンも行われたようです。テレビアニメ夏目友人帳の第一期第5話、最初のアニメ・オリジナルの回となった「心色の切符」の舞台が、人吉市内の大畑駅です。作中の線路のワンカットや時刻表などほとんどそっくりとなっていました。
夏目友人帳のアニメファンは人吉駅で夏目友人帳の公式聖地巡礼マップを手に入れて、聖地巡礼をしているようです。人吉駅のほかに「晴山バス停」、「田町菅原天満宮」などが聖地となっていて、スタンプも用意されていました。
大畑駅での楽しみ方
やっぱり駅と言えば列車です。せっかく大畑駅に行くのなら観光列車いさぶろう、しんぺいを利用してみましょう。
名前の由来は当時の逓信大臣であった山縣伊三郎と鉄道院総裁だった後藤新平からとなっています。車両は2両編成、外側は赤色、内装はレトロな木製の座席で、窓は正面の窓以外にも上部にひとつ、下部にひとつの窓が取り付けられ、より広く景色を楽しむことができるように工夫されています。
大畑駅・矢岳駅・真幸駅ではいずれも数分間の停車時間があるので、大畑駅の見学はもちろん、真幸駅で幸せの鐘を鳴らしたり、矢岳駅では本物のSLを見ることができます。沿線での一番の楽しみはやはり大畑駅でのスイッチバックとループ線です。スイッチバックというほとんど経験しない列車がバックと前進を繰り返す動きを実感でき、ループの途中では一旦列車が停まってくれるので、その風景をゆっくりと楽しむことができ、客室乗務員による案内もあります。
また、真幸駅から矢岳間は日本三大車窓と呼ばれていて、広大なえびの盆地とそのバックに雄大な霧島連山を見ることもできます。
大畑駅へのアクセス
関東関西方面からは新幹線利用で熊本駅から肥薩線乗り換えとなります。
熊本空港利用の場合は空港からバスで熊本駅へ行き、そこから肥薩線利用となります。
マイカーの場合は、九州自動車道人吉インターを降りて、人吉市内を南下、人吉街道に入りえびの市方面へ向かい、大畑小学校付近から人吉梅園を過ぎて直進で到着です。
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